ウチにバナナの木がある。
正確に言うと、
夫が「これは木だ」と判断した物体が、キッチンに立っている。
バナナスタンドがない。
ただそれだけの理由で、
夫は「買う」でも「妥協する」でもなく、
作るという選択肢を選んだらしい。
完成したそれは、木製。
土台は安定感があり、芯も太く、
どこからどう見ても
**「長く使う覚悟」**が感じられる。
ただし、用途はバナナ。
しかも一本か二本。
季節感もなければ、収穫も未定。
にもかかわらず、夫はそれを誇らしげに置き、
「ほら、バナナって下げたほうがいいんだよ」と言った。
その言い方があまりに堂々としていたので、
私は何も言えなかった。
今日もわが家のキッチンには、
実る予定のないバナナの木が、静かに立っている。




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